2020年6月5日

Picoナーサリ久我山保育園(取材日:2019年5月21日)

京王井の頭線の久我山駅から徒歩約5分のところに「学校法人 野上学園 久我山幼稚園」があります。

幼稚園の特徴は、専門講師による茶道・リトミック・絵画・体操・英会話などの特別教育の豊富さです。地域からも信頼が厚い園でもあります。

今回は、幼稚園の敷地内に併設された認可保育園「Picoナーサリ久我山保育園」を見学させていただきました。園内を案内していただくのは、学校法人 野上学園 久我山幼稚園 経営、社会福祉法人風の森 統括 野上美希さん。

元々、ご主人の祖母が開設した久我山幼稚園。結婚を機にOLから幼稚園・保育園の経営者へなられたそうです。「サラリーマン一家なんです。誰も保育の人はいなくて」と話す野上さんの「保育への思い」や「職員の働きやすい環境への配慮」についてお話を伺いました。

 

Picoナーサリ久我山保育園は0歳児から2歳児までのお子様をお預かりする施設で、卒園後は久我山幼稚園へ入園します。現在、定員30名で0歳児3名、1歳児20名、2歳児18名が在籍しています。職員は正社員保育士・パート・栄養士等を含め19名で構成されています。1クラス規定職員数より2名多く配置しているそうです。

 

外観は清潔感のある白を基調とし、ステンドガラスを思わせるようなデザインを施した大きな窓が特徴的です。

出てきた職員と出会いました。素敵な制服に目を奪われ、思わず写真を撮らせていただきました。

こちらの水色とライトグレーの配色がさわやかな制服は、ナーサリー内の「おしゃれ番長」の職員を集めてデザイナーさんと決めた自慢の制服だそうです。

職員が自分たちで着る制服をデザインするという経験は、なかなかできることではありませんね。

 

玄関正面に1歳児クラスがあり、すぐ横に園長先生と主任さんのいる事務所があります。保護者は毎朝そこで打刻をするので、コミュニケーションが取れるとのことです。笑顔が朗らかな園長先生と主任さんに役職業務や職員とのコミュニケーションについて尋ねました。

Y(取材担当):園長先生や主任さんは書類業務も多いと思われますが、何か工夫などはしているのですか?

園長「上(役職者)が残っていると他の職員が帰りにくいので、お昼の時間に終わらせたりしています。4月は探り探りで業務が終わらない時もありました。」

主任「業務を前倒しにして短期集中して行っています。保育の方にも入るので。」「事務の人もいるため、主任業務だけでなく、保育にも入れます。」

園長「職員の人数が多いので、残業がないように皆で考えて皆で幸せになるように支え合っています。先生たちは真面目なので、自分たちでやりたい(書類業務や保育に関すること)と思いますが、“抱え込んでないか”を見ています。」

Y:職員とのコミュニケーションはどのようにとっていますか?

園長「4月に歓迎会をし、先生たちで食事をしたりしています。クラスのリーダーは同期で同世代なので、そのグループで食事に行っているみたいです。」

職員への心遣いについては、野上さんからもお話を伺いました。

野上さん「職員が働きやすいように、残業なし、作業分担、時間内で終わらせる意識・癖付けを先生たちにしています。」

”業務を時間内に終わらせる意識・癖付け”の意向が園長先生・主任さんにも共有されていて、園全体で残業を無くす取り組みをしているのは素晴らしいですね。

 

保育室内も見学させていただきました。ちょうど午睡時間で、子どもたちはスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていました。

1階に2歳児クラス、2階に0歳児クラスと1歳児クラスがあります。どこのお部屋も杉の木を使ったぬくもりのある雰囲気で、野上さんのこだわりが詰まっています。

 

Y:とても綺麗なお部屋で、壁面(製作)も少ないですね。

野上さん「自然の中で育てたいという思いがあり、本物の杉の木材を使っています。壁面もなく自然な感じにしたいです。」

Y:子どもたちが“ホンモノ”に触れることが大事ということでしょうか。

野上さん「そうですね。」「子どもと大人が対等な環境を作りたく、先生たちも過ごしやすいようにしています。休憩室もちゃんとあり、職員の環境も重視して設計しています。」

野上さんの素晴らしいセンスが保育園の設計時に反映されているのですね。

 

ここで、どうして野上さんが運営する幼稚園や保育園では離職率が低いのか尋ねました。

野上さん「人材紹介は使わず、職員の紹介が多いです。先生たちが辞めないように、人(職員)を増やすようにしています。開園時に園長先生の体調不良がありました。そのため、先生たちの負担がないように考えています。」

「先生たちのライフスタイルを良くし、オフでリフレッシュしたことを保育に生かしてほしいです。園長は保育のことだけを考えてもらうようにして、園の運営やお金のことは本部でやります。園長は子どもや保護者を見てほしい。お金と保育は別です。先生たちが買いたいものがあれば制限はしていないです。先生たちからのやりたいことの提案はウェルカムで、自発的になることが理想形です。」

と語る野上さん。実際に、園行事の内容は職員に任せているので、園によって毎年違うそうです。

 

Y:先生たちが保育で欲しいものを買ってもらえるのは、とても嬉しいですよね。

野上さん「お金の制限は子どものためにはならないです。制限する概念はありません。先生たちがやってみたいことをやってみたら、それが子ども達に繋がるというのがいいです。先生たちは子どもたちに一番近い存在なので、先生たちの若い感性を最大限に活かせる環境をつくることが、私たちがすることです。当たり前を当たり前じゃなくしよう。広い視野を持って、教育上で伝統も大事だけど、時代の流れを見据えて、子どもを育てることをしたいです。」

 

保育については現場の職員を信じて任せていることや、職員がやりたいことができるように環境を整えていること、子どもたちには何が一番必要で、そのためにはどこにお金をかけるべきなのかを熟知し、保育のためにお金を惜しみなく使うこと、業務は時間内に終わるような仕組み作りをするなど、一般企業での仕事も経験し「サラリーマン一家です」と語る野上さんだからこそできる幼稚園・保育園経営なのだと知りました。

 

来年度、また新たに保育園が開所予定だそうです。今後の発展が期待される大注目の保育施設です!

(取材担当:Y)

 

社会福祉法人 風の森 Picoナーサリ久我山保育園

https://www.kazenomori.or.jp/sub/nurserykugayama